科学の鉄人2009

子どもゆめ基金(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)助成活動

実験ショー紹介

新人コース
「液体窒素で感じる原子の動き」粉川 雄一郎
「電球と省エネ電球」舩田 優
「空気で物を動かそう」松村 浩一
鉄人コース
「「考える」って、どういうこと?〜石取りゲームの必勝法〜」岡田 晃次
「三原色は誰が決めた?」月僧 秀弥
「もしも僕が化石になったら」佐藤真太郎
「探求!音がなくても音のショー」益田 孝彦

■鉄人コース「探求!音がなくても音のショー」
益田 孝彦

今回の実験ショーは「たとえ音がしなくても音のショー」がテーマ。このテーマに向かって、皆さんに参加してもらいます。
さて皆さん、「空震(くうしん)」って聞いたことありますか?下は、鹿児島の例です。

◆「空震」で検索してヒットした2006/01/28( 土) のインターネット書き込みより
いちき串木野市や甑島などで25日ごろから、窓ガラスが激しく揺れる空振が続いている。いちき串木野市消防署には住民から「地震では」といった問い合わせが数件あり、原因を調べている。
いちき串木野市の土川小では26日午前9時半ごろ、突然校舎南側の窓ガラスがビリビリと1分間ほど振動。27日も同時刻ごろ振動があった。長友校長は「子どもが驚くので早く収まってほ
しい」。薩摩川内市の鹿島小では26日午後3時ごろ、5秒ほど窓ガラスだけが揺れた。いちき串木野市消防署には25日午後から、海沿いを中心に問い合わせがあった。県や自衛隊に確認したところ、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)が、同市西方約150キロの海域で訓練していることが分かった。同基地渉外室によると、25日から同海域で訓練を開始。川原学室長は「音速を超えるような高速の訓練はしていないし、遠く離れている。空振の原因とは考えにくい」と話している。

正直、新聞社の方含めて、誰も「空震」の真実を知っている人がいないのです。この謎解きに皆さんに参加してもらうつもりです。空気鉄砲を研究すれば謎が解けるはずです。参加者の皆さんには安全な空気鉄砲をお配りします。体験を通して重要な発見をしてください。その発見が元になると、空震が見えてくるかも知れませんよ。ぜひ科学の面白さを味わってください。
さて、「空震」の原因とは全く逆の音も紹介します。今年、コウモリの自由研究をしている中1 の姪っ子の大発見を皆さんに成果報告します。こちらの主人公も聞こえない音!
今回は、コウモリを探すときに使う「バッドディデクター」という装置と、犬の調教に使う「マナーコール」という装置の組み合わせで、なるほどの「音の世界」に皆さんを御案内します。短いショーの時間でどこまで紹介できるか分かりませんが、超音波について普通の本には書いていない「自由研究ならではの発見」を紹介します。お楽しみに!
予定している内容は以下の項目です。
(第1部)空震の犯人捜し
 1.空震に挑戦!
 2.音の基本を教えるよ!コンピュータ測定器に注目。(先取り中学の授業!)
 3.何に気がつく?体験。空気鉄砲!
 4.博士は何が言いたいか・・・筒が太くなると音は
 5.さあ原因(犯人)を見付けるぞ!
(第2部)おもしろくてしょうがない自由研究での大発見
 1.「バッドディデクター」は嘘をつかない。
 2.「マナーコール」から音はどう出ているのか?
 3.超音波に隠された真実
 4.博士のドキドキ「エコーロケーション」

実験ショーのポイント

 今年も、「科学の鉄人」という企画が初めてこの世に生まれたときの課題、「見えないものが見えてくる」というテーマに迫ってみたいと思います。
まずは小学校用の空気鉄砲を別の観点で使用します。そこで得られる基本的発見が、どのくらい奥の深い話になるか楽しみにしていてください。一つめの大きなテーマは「空震」です。私が教師になってまもなく、三浦市立南下浦中学校で「空震」を経験しました。皆さんは「空震の秘密」を分かっていますか?そもそも空震て何か知らない人ばかりですよね。今回のショーでは、「空震」の理由と南下浦中を揺らした空震の発生源に気づけるか楽しく挑戦していただきます。
さて、今回の音のショーは、人には聞こえない音について、違う事例からも迫ります。コウモリのような気持ちになって、「エコーロケーション」という動物が使う技術を、実験を踏まえて、解き明かしてほしいのです。
今回は、「音」を習わない小学生であっても、確かな学力をつけるため、手がかりを与えるための工夫を施しています。それがオシロスコープ的な扱いで登場します。
  1.音には振動数という要素があって、振動数が大きいほど高い音であること。
  2.音には振幅という要素があって、振幅が大きいほど大きな音であること。
これをベースに、「考える楽しさ」「知的好奇心」をどれだけくすぐれるかを目指します。  
そのための、サイエンスショーで留意されるべき、以下の観点にも是非注目してください。
  1.小学生に分かる課題の設定。  2.小学生を励まし高める教師の応対。
  3.授業レベルよりもちょっと深い、知的興味を満足させる到達目標。
時間が足りないかもしれませんが、またまた今まで誰もやったことのない、新しい話題と手法で世界で初めての実験ショーを皆様にお届けしたいと思います。乞うご期待!

プロフィール

氏名  益田 孝彦(ますだ たかひこ)
所属  三浦市教育委員会 学校教育課
第2期サイエンスレンジャーに選ばれて以来、10 年間以上サイエンスレンジャーを務める。現在も、神奈川県の三浦市教育委員会で指導主事を務めながら、依頼があれば休日にショーを実施。平成20 年度は、鎌倉・大和など神奈川県各地や八王子・静岡・神戸・群馬太田・日本科学未来館(サイエンスアゴラ開会式)・京都・豊田と全国をサイエンスショー行脚している。
自由研究の指導が好きで、指導した生徒達の自由研究は、第45回日本学生科学賞内閣総理大臣賞はじめ、数々の賞を受賞する。今年度のサイエンスショーは姪っ子の自由研究につきあって発見された内容をショーに組み込んだくらいである。自らも第53回読売教育賞理科教育部門にて最優秀賞を受賞する。本業では、授業づくりについて鎌倉・京都等で講演したが、なんと第26回関東ブロック中学校社会科教育研究大会の助言者を務めた変わり種である。

実験ショーの様子