実験ショーリスト
10枚のカードでの算数マジックの謎解きを楽しもう (野呂 茂樹)
空想の科学!? いえいえ空振の科学!! (益田 孝彦)
空気をさぐろう (矢野 礼美)
300年前の公開実験を再現!! (b山 幸也)

空想の科学!? いえいえ空振の科学!!

実験ショー紹介

 今回の実験ショーは「聞こえない音!? で説明する、音のショー」です。
 さて皆さん、「空振」って聞いたことありますか?下は、鹿児島の例です。

◆ 6 年前に「空振」で検索してヒットした2006/01/28( 土) のインターネット書き込みより

 いちき串木野市などで2 5 日ごろから、窓ガラスが激しく揺れる空振が続いている。いちき串木野市消防署には住民から「地震では」といった問い合わせが数件あり、原因を調べている。
 いちき串木野市の土川小では2 6 日午前9 時半ごろ、突然校舎南側の窓ガラスがビリビリと1 分間ほど振動。
2 7 日も同時刻ごろ振動があった。長友校長は「子どもが驚くので早く収まってほしい」。薩摩川内市の鹿島小では2 6 日午後3 時ごろ、5 秒ほど窓ガラスだけが揺れた。
 いちき串木野市消防署には2 5 日午後から、海沿いを中心に問い合わせがあった。県や自衛隊に確認したところ、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町) が、同市西方約1 5 0 キロの海域で訓練していることが分かった。
 同基地渉外室によると、2 5 日から同海域で訓練を開始。川原学室長は「音速を超えるような高速の訓練はしていないし、遠く離れている。空振の原因とは考えにくい」と話している。 ・・・・・・・・

 正直、当時の人たちは、新聞社の人をふくめて、誰も「空振」の真実を知っている人がいないのです。「空振」は去年ちょっと有名になりましたが、まだまだあまり知られていないとてもユニークな現 象です。皆さんには、この謎解きに楽しく参加してもらうつもりです。空気鉄砲を研究すれば謎が解けていくのです。空気鉄砲のような筒が出す音を理解すると、「空振」が見えてくるかも知れませんよ。ぜひ、科学の面白さを味わってください。

 さて、博士は、皆様に空気鉄砲の太さを変えたらどうなるかを、お目にかけます。この実験が想像以上に難しいのです。この実験がうまくいくように、この場面ではぜひ応援して下さいね。何とか皆さんのためにも成功させたいと思います。

 そして、皆さんには、音について、他の人よりも面白い事実を知っているようになってもらいたいと思っています。今回は、超音波を出すコウモリを探すときに使う「バットディテクター」という装置と、犬のしつけに使う「マナーコール」という装置の組み合わせで、超音波について普通の本には書いていない「とっておきのお話」を紹介します。分かれば目からウロコだよ!

 博士がショーのはじめに、皆さんにつたえる謎のメッセージ。その謎のメッセージの意味が本当に分かったとき、若き天才科学者がショーを通して生まれたことになるでしょう。

 予定しているショーの順番は
   @空振ってどんな現象か見てみよう   A高い音、低い音ってどこがちがうの?
   B音色(倍音)と筒の音        C空気鉄砲で分かること
   Dさあ、犯人捜し           E超音波で分かることは・・・音のとくちょう
   Eエコーロケーションに挑戦      Fなぜ日本で空振が知られていないのか
   Gおさらいして、スッキリ・・・最初の謎のメッセージが分かったかな?
です。お楽しみに!

実験ショーのポイント

 今回も、「科学の鉄人」という企画が初めてこの世に生まれたときの課題、「見えないものが見えてくる」というテーマに迫ってみたいと思います。
 今回のショーは、数年前、科学の鉄人で実演した「音がなくても音のショー」のバージョンアップ版です。改良が加えられたショーの出来映えを是非味わっていただきたいと思っています。
 ショーを貫くテーマは、『何故「空振」という現象が、日本で知られていないのかという、意外なようで、すごく当然の理由をスッキリと理解できるか』というお題です。
 まずは小学校用の空気鉄砲を音の観点で使用します。筒が発生する音の秘密、そこで得られる基本的発見が、どのくらい奥の深い話になるか楽しみにしていてください。
 私は、教師になってまもなく、三浦市立南下浦中学校で本当に「空振」を経験しました。皆さんには、南下浦中の窓をガタガタと揺らした「空振」の発生源に気づけるか、楽しく挑戦していただきます。
 さて、今回の音のショーは、超低周波音と超音波という2種類の人には聞こえない音を使って、音の本質的な特徴について迫ります。実験結果をもとに、目から鱗のようなスッキリとした事実を皆様にご確認いただけると思います。ショーの途中で紹介するコウモリが使う「エコーロケーション」という技術を、人間だってできることを証明するユニークな実験にも是非ご注目下さい。
 今回は、「音」をまだ習っていない小学生であっても、話が分かるように、定常波が作る腹と節の説明とクント管の事実確認を通し、手がかりを得られる工夫を施しています。それをベースに、「考える楽しさ」「知的好奇心」をどれだけくすぐれるかを目指します。
 過去に時間オーバーしてしまったショーです。今回もまた時間との戦いかと思いますが、新しい話題と誰もやったことのない手法で、世界で私だけのオリジナル実験ショーをお届けしたいと思います。乞うご期待!


プロフィール

氏名:益田孝彦(ますだたかひこ)
所属:三浦市立初声中学校

  第2期サイエンスレンジャーとして選ばれて以来、約16年間サイエンスレンジャーを務めている。今年度は、逗子市・毛呂山町・三浦市・横須賀市・益田市・久留米市・大和市・横浜市・甲府市などで実演を行う。
 「科学の鉄人」に2007・2008・2011 年度の三度選ばれた経歴を持つ。授業づくり講師としても各地で講演を行っている。
 自由研究指導では、指導した生徒が第45回日本学生科学賞内閣総理大臣賞はじめ数々の賞を受賞する。
 自らも第53回読売教育賞理科教育部門にて最優秀賞を受賞する。